ザネリザネリ

飛ぶ蟹

凡夫の営み、脱力系メランコリックな短編集全9編。 サワガニにかんしては騙された。「甲羅の中にすきとおった羽がしまわれていて、ぱかっと開いて飛ぶんだよ」——父がおれについたささやかな嘘のこと。ありえないとは思いつつ、なぜか、そうかもしれないなあと納得もした……。 日常を半歩くらいはみだして、こころやからだが通いあった(あるいはちぎれた)時間、フワッと浮くような感触。そういうものを書きました。 一編が4000字程度、それぞれ独立した物語の短編集です。 サゲでとぼけるようなお話が多いのは、何かを断言することがこわいなあという今の気分でしょう。許し合いたい。 ーーーーーーーー 試し読みはこちらです。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882692998 ーーーーーーーー 【収録作】 1.講和条約と踊らない叔父さん:少年が眺める、元バレエダンサーの叔父とガールフレンド。それぞれの和解について。(「水ギョーザとの交接」習作) 2.胎内の馬:恋人と連れ子に付き添って、お盆の里帰りをする青年。立ち寄った道の駅にはメリーゴーラウンドがあった。 3.飴と海鳴り:姉から逃げ出した男が拾った、潮のにおいのする猫のこと。(「ぎょくおん」習作) 4.空き地の山羊:学校に行っていない少女と働いていない叔父が、クレーンゲームをする。 5.スイッチオフと苺ジャム:ゼツボーしている兄妹が首を絞めあい、「ぬけがら」を生成する。 6.ジュラ紀:小学校の頃、恐竜みたいな図工の先生と交わした毎日の攻防。「自画像描けたか?」「描けません」 7.ひととおりの憂鬱:校庭に落ちていた小さな三角形の黒い石は、何かの歯やとげに見えた。転校してきた女の子の抱える憂鬱に、あこがれるわたし。 8.海の数えかた:正月に中学生の姪を預かる喫茶店店主の男は、海に背を向けてコーヒーを淹れる。 9.飛ぶ蟹:歳とった父の見舞いに行く、隠し子の青年。おれには歳上の「姪っ子さん」がいるかもしれない。

凡夫の営み、脱力系メランコリックな短編集全9編。 サワガニにかんしては騙された。「甲羅の中にすきとおった羽がしまわれていて、ぱかっと開いて飛ぶんだよ」——父がおれについたささやかな嘘のこと。ありえないとは思いつつ、なぜか、そうかもしれないなあと納得もした……。 日常を半歩くらいはみだして、こころやからだが通いあった(あるいはちぎれた)時間、フワッと浮くような感触。そういうものを書きました。 一編が4000字程度、それぞれ独立した物語の短編集です。 サゲでとぼけるようなお話が多いのは、何かを断言することがこわいなあという今の気分でしょう。許し合いたい。 ーーーーーーーー 試し読みはこちらです。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882692998 ーーーーーーーー 【収録作】 1.講和条約と踊らない叔父さん:少年が眺める、元バレエダンサーの叔父とガールフレンド。それぞれの和解について。(「水ギョーザとの交接」習作) 2.胎内の馬:恋人と連れ子に付き添って、お盆の里帰りをする青年。立ち寄った道の駅にはメリーゴーラウンドがあった。 3.飴と海鳴り:姉から逃げ出した男が拾った、潮のにおいのする猫のこと。(「ぎょくおん」習作) 4.空き地の山羊:学校に行っていない少女と働いていない叔父が、クレーンゲームをする。 5.スイッチオフと苺ジャム:ゼツボーしている兄妹が首を絞めあい、「ぬけがら」を生成する。 6.ジュラ紀:小学校の頃、恐竜みたいな図工の先生と交わした毎日の攻防。「自画像描けたか?」「描けません」 7.ひととおりの憂鬱:校庭に落ちていた小さな三角形の黒い石は、何かの歯やとげに見えた。転校してきた女の子の抱える憂鬱に、あこがれるわたし。 8.海の数えかた:正月に中学生の姪を預かる喫茶店店主の男は、海に背を向けてコーヒーを淹れる。 9.飛ぶ蟹:歳とった父の見舞いに行く、隠し子の青年。おれには歳上の「姪っ子さん」がいるかもしれない。